注目論文(自動車技術)

タイトル 世界最初のハイブリッド自動車
著者 森本 雅之
巻号 電学論D,Vol.137,No.1,P69-74,2017
推薦理由

本論文では1898年に提案された世界発のハイブリッド自動車から始まり、シリーズハイブリッドやISGなど現在のハイブリッドシステムにつながる当時の技術を参考文献に基づいて具体的に且つ分かりやすく整理して解説されており、現在のエンジニアにとっても有益な内容であると共に読み物としても面白いため、推薦論文として提案する。

タイトル Refinement of inverter model considering dead-time for performance improvement in predictive instantaneous current control
著者 井村 彰宏,高橋 友哉,藤綱 雅己, 残間 忠直,道木 慎二
巻号 IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering, Vol. 9, No. 1, pp. 83–89, 2014
推薦理由 本論文は,第71 回電気学術振興賞(論文賞)の受賞論文である。永久磁石同期電動機(以下,PMSM)は我が国の基幹産業である自動車や産業用ロボットなどを構成する主要な動力源であり,PMSMの高性能化は,それを搭載する製品の付加価値に直結する。著者らはこれまで,既存の制御手法では原理的に満たすことができなかった速応性とオーバシュート抑制を同時に満たすモデル予測制御によるPMSMの電流制御系を構成し,その優れた応答を実験によって明らかにしてきた。本論文では,著者らがこれまでの開発途中で解決すべき問題として挙げていた制御対象のモデルの高精度化に対し,様々な観点からその解決法を明らかにし今まで以上の優れた応答性能を実現した。この成果は,HEVなど電動自動車の価値向上に貢献する有望技術であり,これまでのどの論文にも見られない,新規性と独創性のある研究成果である。以上より,本論文を注目論文に推薦する。
タイトル 自動車の低燃費化に貢献する電動化技術
著者 水谷 良治,立花 武,森本 雅之,赤津 観,星 伸一
巻号 電学論D, Vol. 135, No. 9, pp. 884–891, 2015
推薦理由

自動車の燃費改善の手段として電動化が注目されている。本論文では、背景となっている自動車の燃費規制の動向に始まり、モータ、パワエレ、エネルギーストレージなど各々の技術の概要を紹介している。近年の自動車に対して電動化技術の進化、システム的な理解に役立つので推薦論文として提案する。

タイトル 自動車電源DC48Vのインパクト-DC42Vとの比較とDC60V以下の将来展望-
著者 寺谷 達夫
巻号 電学論D, Vol. 135, No. 9, pp. 892–897, 2015
推薦理由

自動車電源電圧を12Vから48Vに引き上げる動きが欧州から提案されている。本論文の筆者は2001年に世界に先駆けて42V化を量産化した経験を踏まえ、42Vと48Vのシステムの違いや、車両電源の高電圧化による利点を解説している。電源電圧の高圧化によってマイルドハイブリッドシステムとしての回生による燃費改善に加えて、ターボ、ポンプ、触媒ヒータなどの各種車載電気デバイスの変化やそのクルマへの影響を理解するのに役立つ論文として推薦する。