平成30年 電力・エネルギー部門「研究・技術功労賞」受賞者

 電力・エネルギー部門(B部門)では,長年,地道な活動を続けてこられ,技術の発展に貢献された研究者または技術者の方々の労に報いるとともに,電力・エネルギー分野技術の更なる発展を図ることを目的とし,平成18年から,部門表彰制度として「研究・技術功労賞」を新たに設けております。
 研究調査運営委員会および部門役員会での審査の結果,平成30年の受賞者は,次の2名の方に決定いたしました。表彰は,徳島大学で開催されました平成30年電力・エネルギー部門大会の表彰式(9月13日)で執り行われました。

件名 受賞者(所属) 受賞理由
「高電圧・大電流試験技術ならびに絶縁協調の国際標準化に関する貢献」 岡部 成光 殿
〔東京電力ホールデイングス(株)〕h30_1
 33年以上にわたって高電圧絶縁技術に関する研究に従事しており,特に高電圧・大電流試験技術や絶縁協調に関する技術開発において国内標準化はもとより,国際標準化の活動に大きく寄与し,日本の高電圧絶縁技術の発展・向上に大いに貢献された。
 特に,高電圧・大電流試験技術や絶縁協調技術の研究として,日本独自の開発技術である「非標準雷評価技術」は,国際標準技術として認められ,2018年にはIEC国際電気規格「60071-2-2018 絶縁協調―適用ガイドライン」として発刊されるに至った。
 また,これら高電圧・大電流試験技術並びに絶縁協調に関する国際標準化の活動により,2017年並びに2018年の2年に渡り,「IEC1906賞」を受賞された。本賞の2年連続の受賞は世界でも初めてのことであり,その活動は世界的にも高い評価を得ている。
「電力系統の安定化と再生可能エネルギー発電の出力予測技術の開発・実用化への貢献」 瀧川 喜義 殿
〔(株)四国総合研究所〕h30_2
 長年にわたり50万V系統や直流連系系統の解析・安定化技術,ならびに再生可能エネルギー発電の出力予測に関する研究に携わり,電力系統の安定化および電力需給の運用性向上,発展に大いに貢献された。
 電力系統の解析・安定化では,50万V系統に連系する発電機プラントモデルや交直変換器等を模擬したHVDCモデルの開発・精度向上を図るとともに,EMTPを用いた大規模電力シミュレータを開発するなど交直連系を含む電力系統の安定化に大きく貢献した。
 再生可能エネルギー発電の予測では,ファジィ回帰モデルと気象庁の数値予報データから将来の出力予測値を求める風力発電出力予測システムの開発,日射計計測値とひまわり画像による太陽光発電出力のリアルタイムでの実績推定手法の開発に加え,気象庁数値予報と,ひまわり画像による雲の移動から推定した2つの日射量予測値を活用したハイブリッド予測による太陽光発電出力予想システムの開発を行った。本手法は,設備分布の詳細や自家消費も考慮した実態に即した手法であり,高精度かつシンプルなシステムとして実現できることから,実運用システムとして四国電力で活用され需給運用に大きく貢献しており,電気科学技術賞を受賞するなど高い評価を得ている。